今日、ナイトバザール店の売り子さんスタッフが一人お休みだったために、私が店番をしている。

夜8時を過ぎたころから少しずつ、お客さんが増えてくる。


外から元気な男の子の声が聞こえてきた。

「サワディー・クラーップ!(こんばんはー!)コップクン・クラーップ!(ありがとうー!)ハロー!」


まるで壊れたレコードのように何度も繰り返し続けている。

新しい携帯電話のプロモーションかな?とか思いながら、外へ出てみると、私たちのお店の入り口に小さい男の子が座っていた。

その男の子は通り過ぎる人を見上げて、何度も繰り返し呼びかけているのだった。

物乞いをしている子供だ。


きっとまだ5歳にもなっていないだろう。

汚いシャツに半ズボン、靴は履いていない。

小さな空き缶を自分の前に置き、ワイ(タイの挨拶、合掌)をしながら大きな声を出している。




こんなことが今までになかったわけではない。

夕方になるとおじいちゃんが自転車でシャ~ッとやってきて、私たちのお店の前に座り物乞いを始めたり、赤ちゃん2人を抱えたお母さんが座ったりすることは度々だ。


私たちが売っているのは「アクセサリー」。

言ってしまえば贅沢品だ。 生活になくてもかまわない。
お金と気持ちに余裕のある人だけが買うものだと思う。


そんな商品を扱っているお店の前に物乞いの人がいたらどうだろう。

たぶん私なら「欲しい、見たい」と思っても買う気が失せるに違いない。


私たち二人もこのお店に生活がかかっている。

だから、15分ぐらい待っても移動してくれそうにない場合は、20バーツ札を渡しておじいさんやおばあさんにお願いする。

「私も商品を売りたいんです。 悪いけど他に移動してもらえませんか?」


かわいそうだと思う気持ちと、話しづらいと思う気持ち、恥ずかしいと思う気持ち、怖いと思う気持ちが交じり合って、その人のところへ行くまでに何度も躊躇する。


私にとって今日の男の子は強烈だった。

どう言うべきか分からない。

だけど、この状況を放っておけるほど、私は心が広くない。

ウロウロしながら考えているところに主人がやってきた。


そして、その男の子に10バーツを渡して「ポンポン」と肩をたたき、他へ移動するように言った。

男の子は素直にお店の前を離れた。


この子には未来があるのだろうか?
ただ、生まれてきた環境が他の子と違った、と言うだけで物乞いをしなければならない。

おいしいケーキも、楽しいオモチャも、ショッピングモールも、暖かい家族団らんも、何も知らない。

この子が何か悪いことをしたわけではない。
お母さんが悪いことをしたわけでもない。

日本のホームレスとはまた少し違うような気がする。

こんな風に考えるからと言って、私に何かできるわけではない。
いろいろな所から、ボランティアの団体が両親のいない子供の世話にやってきている。
だけど、それがすべてに広く行き渡っているわけではない。


そうこうもどかしく考えている間に、また次の物乞いのおじさんが私たちのお店の前に座った。

今も座っている。

そして私はまたウロウロする。





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comment iconコメント ( -7 )

ども。
物乞いって悲しいことだけど、その子にとっては出発点なのではないかと思います。
僕も数年前は、”明日の暮らしが解らない”って状況がありましたからねぇe-2
今思うのは、全ての人たちは全てチャンスがあるから生かすことをすればいいと考えています。

僕は、どん底を見てきましたけど、それって勉強だろうって今でも思いますよぉ~。

だから、みぃ~さんも辛いけど厳しく接したほうがいいと思いますe-2

名前: もるパパ [Edit] 2007-03-20 02:53

み~。さん

み~。さんの気持ち、よく分かります。
いろんな葛藤があるからこそ、余計に悩むんですよねe-263

シンガポールでも、物乞いをたまに見かけます。
み~。さんが言われているように、日本のホームレスとは
違う感じです。

悲しくて、厳しい現実・・・どうすることもできないですよね。
み~。さんも、その間に挟まれて大変でしょうが、あまり気を落とさないようになさって下さい。
それと、素敵なお仕事、頑張って下さい!応援しています!

名前: TMK1611 [Edit] 2007-03-20 11:44

バンコクで
炎天下の中、体が不自由な人を見かけます。
(両足や手を失ってしまった人)
かなしい気持ちになって直視できなかった。

でも、どうやって移動しているのかを考えると
商売なのかと思ってしまって
素直に手をさしのべることが出来ませんでした。

こう思うこと事態私は非情な人間なのかと
頭を悩ませます。
そしてこのことは今まで誰にも聞けず、
話題にしないようにしてきました。

私はどうすべきなのだろう・・・
 

名前: ジョニー [Edit] 2007-03-20 17:12

★もるパパさんへ★

う~ん、「出発点」ですか。
ただ、その出発する時点で他の子と差があるのが、何とももどかしいんです。

しかもタイという国は、お金がないと何も成立しません。
逆に言うと、お金さえあれば、どんな人でもやって行けるんです。 

そう考えると、最初から家のない、貧しい環境に産まれてしまった人に、チャンスは本当に他の人と平等にあるのだろうか、、、??などと考えてしまうのです。




★TMK1611さんへ★

励ましのお言葉、ありがとうございます。

自分のことではないくせに、クヨクヨ考えて、しかも何も行動に移せない自分が腹立たしいのかもしれません。

ただ、こういう現実に目をそむけないよう、常に考えていくことも少しは彼らの救いになるのだと信じるようにしています。

いつか、もっと具体的に何か行動が起こせる日のために。




★ジョニーさんへ★

バンコクには本当に手や足のない人がたくさん炎天下の中、物乞いをしていますよね。
直視できない、その気持ち、よく分かります。

そのハンディキャップの人たちを一括してまとめている人がいて、商売になっていることが多いのも事実です。
チェンライでもグループになって物乞いをしている人たちもいます。

だけど結局、他の人とは違った境遇なのに変わりはなく、、、
本当に自分では答えが出てこないのに、考えてしまいます。 

名前: み~。 [Edit] 2007-03-20 19:36

昨日これを読ませてもらって
コメント残せませんでした・・
言葉が見当たらず・・哀しかった。
。。が
現実から目をそむけてはいけないと思って
また来ました。
どうしようもない無力な自分を思います。
 
資源ごみや不燃物を出すと夜にあさってる人と
遭遇します。
空き缶もいっぱい袋に詰めてるおじさんも
夜遅くにあいます。
なのに町内会は「持ち出さないで」と
立て札を貼ります。
私は持って行ってはいけないの?と思う。
それで生活が少しでも成り立てばと。
み~。さんのお店の前での物乞いさんとは
同じではないけれど
私も困ったような人を排除できない。。
ご主人は前も思ったけど
本当にお優しいと思うのです。

名前: mogyo [Edit] 2007-03-20 20:41

5歳ってさ、うちの息子達と同じくらいだね。
8時って、我が家では「早く寝なさい~」って言ってる時間だよ。

生まれた場所が違うというだけで…
なんとも、もどかしいという
み~さんの気持ちが、よくわかる。

家も親もなく生活している子供がいるという話は
テレビで見たことあるけれど
物乞いする子供の姿を実際に見たことはない…
私もきっと直視できないだろうな。。
物乞いする人を可哀想と思うことはできても
それ以上の行動は起こせないよ、きっと。



でも、そういう現実の中で生活しているみ~さんが
いろいろともどかしく悩んでしまうのは当然で、
何かしてあげたいと思うのに
何もできないと葛藤するのも当然だと思う。
“物乞いする少年”を目の当たりにして
心を動かされない人がいるとしたら…それこそ、悲しい。

ハンディキャップのある人をまとめて、商売にしている…
一見ショッキングなことに思えるけれど
そうしなければ生きていけない…それも事実なのかな?
ぬるま湯の日本から、物事を見聞きして考えているだけじゃ
本当にどうにもならないけれど。。
考えることも止めてはいけないよね。

あぁ、なんだか動揺してて、言葉がまとまらない。。
物乞いしていた少年に
帰る家や親があってくれれば…と思う。

名前: mai [Edit] 2007-03-20 22:37

★mogyoさんへ★

また遊びに来てくださって、そしてコメントを残してくださってありがとうございます。

夜、ゴミをあさっている人や空き缶を集めている人、こちらでもよく見ますが、それはタイでは職業として成り立っています。
集めたものを量り売りし、お金を得るのです。
小さい子供を連れている夫婦などに遭遇すると、本当に切なくなります。

日本の場合、そういう行動が煙たがられ、排除されてしまう、、、と言うのも仕方ないのかもしれませんが「同じ人間」、何とかならないものか?と思わずにはいられません。

日本のホームレスの人の場合、
「社会が悪いのか?それとも本人が悪いのか?」と言う疑問を持ったことがありますが、結局答えが出ませんでしたし、今でもそれは分かりません。

ただ、タイの場合、そんな疑問を持つ余地すらない気がしてならないのです。




★maiさんへ★

そうです。 私がもどかしいのはそこなんです。

同じ5歳の子でも、産まれた環境が違い、それを改善するのは不可能としか思えない状況に置かれている、、、それが何とも言えないのです。

またそこが日本のホームレスの人と違うのでは、、、と思うのです。

私がどれだけ考えても答えが出るわけでもなく、愚痴ったところで出来ることがあるわけでもなく、、、。

だけど、それでもその子にもお母さんがいて、今のその「根性」が役立つときが来ますように、、、と密かに願うばかりです。




もるパパさん、TMK1611さん、ジョニーさん、mogyoさん、 maiさん、一緒になって考えてくださって、また元気をくださって、本当にありがとうございました!

名前: み~。 [Edit] 2007-03-21 19:45

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